梶尾真治「ゆきずりエマノン」(シリーズ単行本第4作連作集)ネタバレ有り 2014年10月13日(月) 19:29:49   No.72 (読書)

2015年03月29日 16:09
 エマノン(emanon)はノー・ネーム(no name)を逆に綴った少女の名前です。地球に生命が誕生してから、生物の進化についての四十数億年分の記憶を母から代々受け継いでいる少女の物語です。その少女が母となった時に、それらの記憶はその娘に引き継がれ、母(の記憶)からは消失する。
 生物のエポックに立ち会うのがエマノンの宿命です。エマノンは突然訪れる呼びかけの声や予感などに誘われつつ使命的な旅を続けている。(カジシン作品との出会いは、エマノン・シリーズの第一作「おもいでエマノン」でしたので、楽しみにして毎回読んでおります。)
★おもかげレガシー
 他人の記憶を呼び込んでしまうという不思議な負の能力を持った香澄は、亡くなりかけている老人から或る品物を託される。老人が少年の時に、香澄に似た少女から預かったという大事なボトルだ。それを受取りにエマノンが香澄の前に現れる……
★ぬばたまガーディアン
 邪悪なエネルギーが地球に出現するを阻止するため、地球人たちを憑代(よりしろ)として"善なる宇宙の意思"たちが戦おうとする直前に、エマノンはその戦いを直視するように招かれた……
★いにしえウィアム
 韓国の"論介(ノンゲ)伝説"(秀吉の朝鮮出兵時に日本人武将を道連れに身投げしたという女英雄・妓生(ギセン)の話)を題材に、過去に朝鮮人と日本人との悲恋の現場に立会ったというエマノンがその時の約束を果たすために、日本人男性・毛谷村の韓国旅行に連れ添うという話。エマノンはゆかりの地を連れ歩いて、毛谷村が自発的に何かを思い出すのを待つのみ…
★あさやけエクソダス
 今回は九州の或る島から発せられた悲鳴的メッセージが発端でした。エマノンも何が何のためなのか判らないまま、今は誰も住んでいない、怪物が現れるという孤島に渡ります。
 エマノンがやっ見つけたメッセージを発信していたのは……
 アリ、ハチのように女王を創造した虫の文化がありますが、ある怨念が、そんな恨みの想い・願いが溢れた時に、哺乳類動物にも"怪物"を生むような悲鳴的パワーが出現することもあるのだろうか、という異質な生命とのエマノンの出遭い…その対応は…


 今回は札幌市中央図書館の蔵書を石狩市民図書館の経由で借り受けたものです。まさに"全国の図書館の蔵書は私の蔵書"のようなものです。自分の蔵書だって、どのダンボール箱に入っているのか判らないので、是非また読みたい時にはダブリと知りながら古本を再度買ったことがありますけど、捜す手間と労力を考えたら、借りる方が効率的です。また古本を安く入手できるならともかくも、ネット購入では運賃が掛りますから、また絶版でプレミアムの付いている古本も結構多いことから、"図書館間相互貸借"をメインにして借りるつもりです。すでに申し込んである最新作「うたかたエマノン」もその内に届いたよと連絡があることでしょう。なお他の図書館の本の場合、貸出期間の延長は不可なので、優先的に読破する必要がある。